新潟県にある柏崎刈羽原子力発電所でテロ対策に重大な不備があったとして、原子力規制委員会は14日、東京電力に対し、柏崎刈羽原発にある核燃料の移動を禁止する行政処分を正式に決定しました。これと合わせて再発防止策などをチェックする追加検査について、検査官の体制を強化して実施することも決めました。

東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発では去年3月以降、テロリストなどの侵入を検知する複数の設備が壊れ、その後の対策も十分機能していなかったことが明らかになったほか、去年9月には社員が中央制御室に不正に入室するなど問題が相次ぎました。

原子力規制委員会はテロ対策に重大な不備があるとして、14日の会合で東京電力に対し、リスクを高めないように核燃料の原子炉への装填(そうてん)など、柏崎刈羽原発にある核燃料の移動を禁止する是正措置を命じる行政処分を正式に決定しました。

問題が改善されたと判断されるまでは柏崎刈羽原発は再稼働できない状態となります。

また、ことし9月を期限として東京電力に提出を求めている原因と再発防止策の報告を待たずに、東京電力の対応内容をチェックする追加検査について検査官の体制を強化して実施することも決めました。

規制委員会の更田委員長は、こうした手続きに1年以上かかるとの見通しを示しています。

是正措置の行政処分は福島第一原発の事故の後、今の規制委員会が発足してから、高速炉「もんじゅ」の開発などを行っていた、日本原子力研究開発機構に出されたことがありますが、一般の原発を運営する電力会社に出されたのは初めてです。

共産 穀田国対委員長「原子力発電担う資格なし」

共産党の穀田国会対策委員長は、記者会見で「当然の決定だと思う。東京電力はテロ防止対策の不備など不祥事が相次いでいて、原子力発電を担う資格はない。電力会社に対して、さまざまな指導や援助を行っている経済産業省の責任も免れない」と述べました。