政府が経済安全保障の強化に向けた取り組みを進める中、NHKが国内の主な企業100社にアンケートを行ったところ、サプライチェーンの強化などを重視する企業が多かった一方、6割の企業が「企業の経済活動への影響に配慮しながら慎重に議論を進めるべきだ」と回答しました。

NHKは先月24日から今月14日にかけて国内の主な企業100社を対象にアンケート調査を行い、すべての企業から回答を得ました。

この中で、政府が経済安全保障の強化に向けた取り組みを進める中、企業として最も重視、または取り組んでいるテーマを尋ねたところ、「重要物資や原材料のサプライチェーンの強化」と回答した企業が44社、「基幹インフラの安全性・信頼性の確保」が25社、「官民の技術協力による先端技術の育成」が6社でした。

また「その他」と回答した15社のうち10社が情報管理の強化などのテーマを挙げています。

そして、技術の流出防止に向けた規制などが経済活動に及ぼす影響が指摘される中、議論をどのように進めるべきか尋ねたところ、「必要な規制の議論は進めるべき」と回答した企業が16社にとどまった一方、「企業の経済活動への影響に配慮しながら、慎重に進めるべき」と回答した企業が60社に上りました。

「進めるべきではない」は1社、「その他」は7社でした。

アメリカと中国のあいだでハイテク技術の覇権争いが激化する中、日本も先端技術の流出防止や半導体や医薬品といった重要物資を確保することなど経済安全保障の強化を急いでいて、政府は現在の通常国会に、新たな法案を提出する方針です。

アンケートからはサプライチェーンの強化などを重視する企業が多かった一方、経済活動に影響を与える規制には慎重な議論を求める企業が多いことが伺えます。