エジプトのスエズ運河で座礁した大型コンテナ船を所有する愛媛県の「正栄汽船」が、エジプトの当局からおよそ1000億円の損害賠償を求められていることがわかりました。

愛媛県今治市の正栄汽船が所有する全長400メートルのコンテナ船は、先月23日、エジプトのスエズ運河で座礁し、1週間近く、すべての船が通航できない状況が続きました。

船は運河の中ほどにある湖に移動され、事故原因の調査が行われていますが、正栄汽船は14日、スエズ運河庁から事故の損失としておよそ9億ドル、日本円にしておよそ1000億円の損害賠償を支払うよう求められていることを明らかにしました。

この金額には、浅瀬に乗り上げた船を離礁させる作業のほか、運河の通航料などが含まれているということです。

正栄汽船は、船にかける船体保険は日本の大手損害保険会社と、賠償については船主が入る保険組合イギリスのP&Iクラブと契約しています。

正栄汽船によりますと、スエズ運河庁は賠償金が支払われるまで船を留め置く意向を示しているということで、会社は保険会社を通じて減額に向けた交渉をしています。

正栄汽船は「請求額は前例のない大規模なものだが、明確な根拠が示されていない。引き続き当局と交渉し、一日も早く船を動かしてコンテナを届けたい」と話しています。

エジプトの政府系メディアの「アハラム」などは13日、運河を管理するスエズ運河庁が損害に伴う賠償金として9億ドル、日本円で980億円余りの支払いを求めたと伝えました。

また、支払いを求めてコンテナ船の留置を地元の裁判所に申し立て、認められたということです。

運河庁は、賠償金には離礁作業に伴った費用などが含まれ、船側が大幅な減額を求め支払いが遅れていると主張しているということです。

一方、コンテナ船の船主責任保険を担当するイギリスの保険組合は船の留置に「失望した」としたうえで、信用の損失として3億ドルが含まれるなど正当な賠償額の根拠が示されていないとしています。