ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのプーチン政権は、ウクライナへ支援を強める欧米側との「戦争」だとして、国民に結束を促し軍事侵攻を継続する構えです。

プーチン大統領は、去年5月の演説で「われわれの祖国に対して、再び本当の戦争が行われている」と述べるなど、『特別軍事作戦』と呼ぶウクライナへの軍事侵攻について、欧米側に仕掛けられた「戦争」だと主張し、正当化しています。

ロシア側は、ウクライナ側の拠点の攻略に向けて、兵員や兵器を集中的に投入し、兵士の犠牲をいとわない攻撃を続け、去年5月には、東部ドネツク州の激戦地バフムトを、ことし2月17日にはドネツク州のアウディーイウカを掌握したと発表しています。

今後、こうした拠点を足がかりにドネツク州全域の掌握をねらって攻撃を強めるものとみられています。

一方、去年6月に始まったウクライナ軍の反転攻勢に対しては、地雷原やざんごうなどを築いて防衛線を幾重にも強化して、進軍を阻み掌握地域の維持を図っています。

プーチン大統領は、ことし1月に「彼らの反転攻勢が失敗しただけでなく、ロシア軍の手に完全に主導権があることは明らかだ」と述べ、戦闘を優位に進めていると強調し、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」も、2月2日の分析で、ロシア軍は多くの地域で再び主導権を握ったという分析を示しています。

ロシア軍が攻撃を強める背景には、大量に消費する武器や弾薬を北朝鮮やイランからの供与で補っているという指摘があります。

このうち北朝鮮からの供与について、アメリカ ホワイトハウスは、去年9月ごろにはコンテナ1000個以上にあたる弾薬などの軍事物資が北朝鮮からロシアに供与されたとみられると明らかにしています。

ウクライナの検察当局は、去年12月末からことし2月7日までに、首都キーウや東部に向けて発射されたミサイルの破片などを調べたところ、少なくとも24発が北朝鮮製とみられるという見方を示しました。

ウクライナ国防省のブダノフ情報総局長は1月に、イギリスの経済紙フィナンシャル・タイムズのインタビューで「北朝鮮がロシアにとって最大の武器供給国になっている」と指摘しています。