軍事的な緊張が続くウクライナ情勢をめぐり、アメリカのバイデン政権がヨーロッパ東部の防衛態勢を強化するためとして派遣を決めたアメリカ軍の部隊の第1陣がポーランドなどに到着しました。



アメリカからはその後も、後続の部隊が相次いでヨーロッパに向けて出発しています。

アメリカのバイデン政権は、ウクライナに隣接するポーランド、ルーマニアとドイツに合わせて3000人規模の部隊の増強を決めていて、アメリカ軍は5日、部隊の第1陣が現地に到着したと明らかにしました。



アメリカからは後続の部隊も相次いで出発していて、このうち南部ノースカロライナ州にあるフォートブラッグ基地では5日、陸軍の第82空てい師団の兵士およそ100人がポーランドへの派遣に向けた準備を進めていました。



兵士たちは、荷物を確認したり家族と連絡を取ったりして、出発前の最後の時間を過ごしたあと、次々と輸送機に乗り込んでいました。



出発に先立ち、男性兵士の1人は「こういう時はいつも不安になるが、これも私の仕事だ。私も家族もいつも準備している」と話していました。



また、初めて海外に派遣されるという女性兵士は「何かあった時のために家族に別れのあいさつをするつもりだが、すべてはきっとうまくいく。希望を持って過ごしている」と話していました。



バイデン政権は、すでにヨーロッパへの派遣を決めた部隊に加え、国内の8500人規模の部隊に対しても派遣に備えるよう指示しています。



アメリカとしては、ウクライナ周辺への部隊の派遣によってロシアへの圧力を強めるねらもあるとみられますが、ロシア側はこうした動きが一層、緊張を高めていると批判しています。

米軍 欧州東部の国などに新たな部隊派遣 防衛態勢強化の方針

アメリカのバイデン政権はNATO=北大西洋条約機構に加盟するヨーロッパ東部の国などに新たな部隊を派遣し、防衛態勢を強化する方針です。



アメリカ国防総省が公開している資料によりますと、ヨーロッパ各国に駐留しているアメリカ軍の部隊は去年9月末現在で、ドイツにおよそ3万5000人、イタリアにおよそ1万2000人、イギリスにおよそ9500人、スペインにおよそ3000人などとなっています。



また、ロシアへの抑止力を高めるため、NATOに加盟するヨーロッパ東部の国々に定期的に部隊を派遣していて、国防総省によりますと、現在ウクライナに隣接するポーランドにおよそ4000人、ルーマニアにおよそ900人が展開しています。



また、旧ソビエトのバルト3国にはリトアニアにおよそ100人、ラトビアとエストニアにそれぞれおよそ60人が展開しているということです。



バイデン政権は、こうした態勢を増強するために追加の部隊の派遣を決め、アメリカ国内からポーランドにおよそ1700人を、ドイツにおよそ300人を、それぞれ新たに展開する方針で、ドイツに駐留しているおよそ1000人の部隊をルーマニアに派遣することも決めました。



またこれとは別に、アメリカ国内の8500人規模の部隊に対して、ヨーロッパへの派遣に備えるよう指示していて、多国籍軍で構成されるNATOの即応部隊およそ4万人が活動を開始する際に合流するということです。