衆議院予算委員会では、新型コロナの感染拡大で取りやめとなった地方公聴会に代わる参考人質疑が行われ、午後は、格差の是正やポストコロナを見据えた社会経済の在り方などをめぐって意見が交わされました。

自民党が推薦した、亜細亜大学の権丈英子教授は「日本の貧困問題の多くはシングルマザーにたどりつくが、その根源的な原因は子どものいる女性が再就職しようとすると、非正規の雇用機会しか準備されていない労働市場にある。社会保険での適用除外などの見直しが強く求められている」と述べました。

日本維新の会が推薦した慶應義塾大学の松井孝治教授は「日本が公共的な課題を解決して未来の展望を開く時、もう少し『パブリック』という概念を広げて、内閣や国会、官僚組織だけでなく、多くの人々の力を結集しなければいけない。官僚に重荷を押しつけるのではなく、より幅広い人たちが公共政策に関わるような統治機構をつくってほしい」と述べました。

公明党が推薦した、放送大学と千葉大学双方の名誉教授、宮本みち子氏は「失われた20年で経済格差が拡大し、結婚、持ち家、子育てがセットになった中流の生活を営めない人々が増加した。これがコロナ禍の中でより一層明らかになった。求められている政策は格差拡大を防止し、社会の支え手であるべき人々への支援を強化することだ」と述べました。

国民民主党が推薦した、慶応義塾大学の井手英策教授は「かつてのような成長はもう無理だ。中長期的に穏やかな成長を目指し、コロナ禍が私たちの生きづらさを可視化した状況の中で、成長を前提にしない、成長に依存しないような新しい社会モデルをつくっていくという考えが重要ではないか」と述べました。