アメリカの議会下院は、半導体の国内での生産を進める企業に日本円で6兆円規模にのぼる巨額の補助金を投じる法案を可決しました。経済安全保障の観点から半導体の国産化を促進し中国に対抗する狙いがあります。

「アメリカ競争法」と名付けられたこの法案は国内の先端技術の強化に国家予算を投じるもので、議会下院で4日、賛成多数で可決されました。



法案の柱は半導体の国産化の促進で、アメリカ国内で工場を新設するメーカーなどに合わせて520億ドル、日本円で6兆円規模の補助金をつぎ込みます。



半導体はハイテク分野だけでなく軍事技術でも重要性が増していますが、アメリカの世界全体に占める生産シェアはこの30年で、37%から、12%に低下しています。



一方中国は、国家主導で半導体の国産化率の引き上げを推し進めていて、アメリカ政府としても経済安全保障の観点から自国の半導体産業を立て直す狙いがあります。



レモンド商務長官は記者会見で「これは待ったなしの予算だ。アメリカは半導体生産で後れをとっていて、安全保障面で非常に危険な状態にある」と述べ、法案の重要性を訴えました。



法案は今後、上院で審議されますが、半導体メーカーの「インテル」が1月、アメリカ国内に新工場を建設する計画を発表するなど、すでに補助金を見据えた企業の動きが出始めています。