来年3月の韓国大統領選挙まで9日で3か月となりました。
選挙戦は事実上、革新政権の継続を目指す与党と、5年ぶりの政権交代を掲げる保守系の最大野党の直接対決になる見通しで、支持拡大に向けた両陣営の動きが本格化しています。

韓国では、大統領の任期が1期5年かぎりで再選は認められておらず、ムン・ジェイン(文在寅)大統領の後任を選ぶ第20代大統領選挙の投票が、3か月後の来年3月9日に行われます。

革新政権の継続を目指す与党「共に民主党」は、イ・ジェミョン(李在明)前キョンギ道知事を、5年ぶりの政権交代を目指す保守系の最大野党「国民の力」はユン・ソギョル(尹錫悦)前検事総長を、それぞれ公認候補に選出していて、選挙戦は事実上、与党と最大野党の直接対決になる見通しです。

両党は、選挙対策委員会を立ち上げて、支持拡大に向けた動きを本格化させています。

このうちイ氏は、先月中旬から週末ごとに各地で遊説を行っていて、地域経済の活性化や若者の就職難の解消に力を入れると強調し「経済に強い大統領になる」として支持を訴えています。

一方のユン氏は、不動産価格の高騰などを招いたとしてムン政権の経済政策を批判したうえで、雇用の創出や経済成長率の向上を図るため「政権交代を成し遂げる」と強調しています。

世論調査機関の「韓国ギャラップ」が今月3日に発表した調査結果では、両氏の支持率はいずれも36%ときっ抗していて、若い世代や無党派層の票をどれだけ掘り起こせるかがカギになるとみられています。

両候補は対日姿勢では違いも浮き彫りに

与党「共に民主党」のイ・ジェミョン氏と、最大野党「国民の力」のユン・ソギョル氏は、いずれも、冷え込んだ日韓関係を改善する必要性に言及していますが、日本に対する姿勢の違いも浮き彫りとなっています。

与党のイ氏 日本への警戒感を隠さず

イ氏は、日本との関係改善に積極的に取り組むとして、歴史や領土をめぐる問題と、社会的・経済的な交流を切り離して対応していくと主張していて、先月、外国メディア向けに行った記者会見では「互いにとって役立つ道を進むことを願っている」と述べました。

しかし、日本に対しては厳しい発言が目立っていて「日本は、韓国を数十年間支配した前歴があり、いまも軍事大国化を夢見ている。過去の歴史について日本が心から反省しているとは思えないので、私たちが心配するのは当然だ」と述べるなど、警戒感を隠していません。

また、日韓の間の懸案となっている、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題については「真摯(しんし)な謝罪をすれば、賠償の問題は現実的な方策を見いだせる」と強調し、日本側の対応を求めています。

最大野党のユン氏 関係改善に意欲

一方、ユン氏は、現在の日韓関係について「ムン・ジェイン政権が国益を優先するのではなく、外交に国内政治を持ち込んだため、国交正常化以降、最悪の状態に陥った」と述べ、ムン政権の対日政策を批判しています。

先月、外国メディアを対象に行った記者会見では、日本について「価値と利益を共有して信頼を構築していく両国関係の新たな50年を描く」として、関係改善に意欲を見せました。

また、慰安婦問題や「徴用」をめぐる問題については「未来に向かって協力すれば、過去の問題は整理できると思う」と述べ、包括的な解決を目指す立場を示しました。

さらに、日韓の首脳が相互に相手国を訪問する「シャトル外交」を再開するとしているほか、北朝鮮に対応する上で日米韓3か国の連携が重要だと強調しています。

世論調査はきっ抗

韓国の世論調査では、与党「共に民主党」のイ・ジェミョン氏と、最大野党「国民の力」のユン・ソギョル氏の支持がきっ抗しています。

世論調査機関「韓国ギャラップ」が今月3日に発表した調査の結果では、次の大統領にふさわしい人物として、イ氏を挙げた人と、ユン氏を挙げた人の割合がいずれも36%でした。

このほか、中道系野党「国民の党」のアン・チョルス(安哲秀)氏と、革新系野党「正義党」のシム・サンジョン(沈相※ジョン)氏は、それぞれ5%にとどまっています。

イ氏を支持する理由としては「推進力・実行力」が22%「職務・行政能力」が15%となっていて、ソウル近郊のキョンギ道の知事などを務めたイ氏の手腕への期待がうかがえます。

これに対し、ユン氏を支持する理由としては「政権交代」が27%「公正・正義」が11%となっていて、検事総長としてムン・ジェイン政権をめぐる疑惑を厳しく追及した姿勢などが評価されているとみられます。

また、望ましい選挙結果としては、政権交代のために野党候補の当選と答えた人が53%、政権維持のために与党候補の当選と答えた人が36%となっています。

一方、別の世論調査機関「リアルメーター」が今月6日に発表した調査結果によりますと、支持率は、ユン氏が44%、イ氏が37.5%、アン氏が3.8%、シム氏が3.2%となっています。

この調査では、ユン氏がイ氏を6.5ポイントリードしていますが、2人の差は前の週に比べると3ポイント近く縮まっています。

※女へんに丁