北京オリンピックに参加する予定だったトップ選手が新型コロナウイルスに感染し、出場できないケースが相次いでいることについて、IOC=国際オリンピック委員会は6日、記者会見で「隔離中の選手や競技に参加できない選手は残念だが、最も大事なのはすべての参加者の安全確保だ」と述べ、理解を求めました。

大会組織委員会によりますと、大会3日目の6日までに、新型コロナに感染が確認された各国の選手やチームの関係者は142人で、スキーのジャンプやノルディック複合のトップ選手が感染したケースも明らかになっています。



これについてIOCと大会組織委員会の6日の記者会見で、IOCのクリストフ・デュビ オリンピック統括部長は「隔離中の選手や競技に参加できない選手は残念だが、最も大事なのはすべての参加者の安全確保だ。ただ、濃厚接触者は競技に参加できるし、メダルも取ったケースもあり、運営については満足している」と述べました。



その一方で、陽性となった選手の隔離施設で選手団から待遇面に不満の声が上がっていることについては「選手に影響を与えたのは本当に不幸なことで、許されるべきではない。対策を行うのが私たちの責務で、インターネットの接続状況や食事、部屋の大きさ、練習設備といったすべてで最良の物を提供すべきだ」と述べて、改善を図る考えを示しました。



また、組織委員会の担当者は「食事は隔離施設でも選手村と同じメニューが配達されるようにしている」とすでに対応に当たっていることを強調しました。



さらに、感染対策における東京大会の経験について問われると、デュビ オリンピック統括部長は「東京大会ではルールや対策があればやり遂げられることが証明され、私たちは経験だけでなく自信を得た。東京大会をベースに、かなり詳細に北京大会のルールを策定することができた」と手応えを口にしました。

北京オリンピック コロナ対策は

北京オリンピック・パラリンピックは厳格なコロナ対策の中で開催されています。



コロナ対策のルールをまとめた「プレーブック」を作成し、大会関係者は中国に入国したあとはPCR検査が毎日課されるほか、マスクは医療用と同じ程度の基準のものを着用することなどが決められています。



また、海外からの観客は受け入れず、一般向けのチケットも販売されないことになり、会場での観戦は招待したグループに限定されています。

対策は東京から

こうした対策はコロナ禍で初めて開催された去年夏の東京大会でも行われました。



最大の焦点となった観客の扱いは、海外からの観客の受け入れ断念に加え、オリンピック・パラリンピックともにほとんどの競技会場が無観客となりました。



また、海外からの大会関係者の数も当初の計画の4分の1程度まで削減し、選手やメディア関係者などの感染対策のため初めて「プレーブック」が作成されました。



この中で選手は毎日検査を受けることや、行動範囲が宿泊場所や競技会場などに限定されること、原則として公共交通機関の利用が認められないことなどが定められました。



一方で、大会期間中は、観光目的で選手村から無断で外出した選手が大会参加に必要なIDカードを剥奪される処分を受けるなど、「プレーブック」に違反するケースが相次ぎ課題も浮かび上がりました。



東京大会では期間中、コロナに感染した関係者は選手41人を含む合わせて863人に上りましたが日本選手とチーム関係者の感染はありませんでした。



北京大会では選手や関係者は競技会場やメディアセンターそれに宿泊施設以外には立ち寄ることが禁止されていて、外部との接触できないようにする厳格な対策が取られています。