ベトナムで初めてとなる、兵器や装備品の国際展示会が開幕し、歴史的な関係が深いロシア以外にアメリカや日本の企業も出展しました。これまで主にロシアから兵器を調達してきたベトナムが、調達先の多様化にかじを切るかどうかに注目が集まっています。

首都ハノイの軍用飛行場で8日に開幕した国際展示会は、ベトナム国防省が初めて開いたもので、歴史的な関係が深いロシア以外に、アメリカや日本などおよそ30か国から170以上の企業や団体が参加し、兵器や装備品を展示しました。

初日の式典でファム・ミン・チン首相は「海外からの友人を歓迎する。双方にとって関係を強化するよい機会だ」と述べました。

社会主義国のベトナムは、冷戦時代、旧ソビエトとの結びつきが強く、ソビエト崩壊後も主にロシアから兵器を調達してきました。

スウェーデンのストックホルム国際平和研究所の報告書によりますと、2016年から2020年にかけてベトナムが輸入した兵器のうちおよそ66%はロシアが供給したということです。

しかしことし2月、ロシアがウクライナに軍事侵攻したことで、ベトナムでは、ロシア製の兵器の安定供給に懸念の声もあがり、今回の展示会をきっかけに調達先の多様化にかじを切るかどうかに注目が集まっています。

専門家「ベトナムの試みの現れ」

シンガポールのシンクタンク「ISEASユソフ・イシャク研究所」の上級研究員で、ベトナムの外交政策などに詳しいレ・ホン・ヒエップ氏はNHKの取材に対し「今回の展示会は、ロシアの兵器から脱却しようとする、ベトナムの試みの現れだ。兵器の調達先を多様化し、ひとつの国に供給を依存するリスクを減らそうとしている」と述べました。

その背景について、アメリカなどの制裁によってロシアは、兵器の製造に不可欠な部品を輸入できなくなり、ベトナムの兵器の調達計画に影響が及ぶ可能性があると説明しています。

また「ロシアから兵器を輸入し続けると、欧米諸国との関係が悪化するリスクもある。ベトナムは多様化に向けた努力を加速させるしかない」と述べました。

そして、東南アジアにはベトナム以外にもロシアから兵器を購入している国々があるとしたうえで「現在のロシアの状況や、ロシアの軍需産業が直面している制約を考えると、これらの国々もロシアにかわる調達先を探すことに関心を持つだろう」と指摘しました。

そのうえで「もし日本やほかの国々がよい取引を提供できれば、兵器や装備品の主要な供給国として、ロシアにとってかわることができるだろう」と述べ、ロシア離れの動きが東南アジア諸国の間で広がる可能性があるという見方を示しました。