ウクライナ東部のマリウポリなどで市民の犠牲が増え続ける中、ロシアとウクライナの代表団が29日、トルコのイスタンブールで、対面形式の停戦交渉にのぞみます。
対面による交渉はこれが4回目で、ウクライナの「中立化」などをめぐり歩み寄れるかが焦点です。

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は、東部の軍事作戦を強化する方針を示し、東部の要衝マリウポリの完全掌握に向け、攻勢を強めています。

国連人権高等弁務官事務所は、軍事侵攻が始まった2月24日から3月27日までに、ウクライナで少なくとも1151人の市民の死亡が確認されたと発表しました。

またウクライナの複数のメディアは28日、マリウポリのボイチェンコ市長の話として、マリウポリだけで子ども210人を含むおよそ5000人が死亡したと伝えるなど、東部で深刻な人道危機が続いています。

一方、首都キエフの北西に隣接するイルピンについて、マルクシン市長は28日、ウクライナ軍が奪還したとSNS上で報告し、キエフ近郊ではウクライナ側が反撃に転じる動きもみられます。

こうしたなか、ロシアとウクライナの代表団による対面形式の停戦交渉が日本時間の29日午後からトルコのイスタンブールで行われる予定で、ロシアの代表団が日本時間の28日夜、現地に到着したのに続いて、ウクライナの代表団も29日朝早く到着しました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、今後の交渉でNATO=北大西洋条約機構への加盟に代わる新たな安全保障の枠組みについて議論する考えを示しており、ロシアが求めるウクライナの「中立化」をめぐり譲歩する姿勢をみせています。

これに対しプーチン大統領の側近、パトルシェフ安全保障会議書記も28日、「軍事作戦の目標は、ウクライナの体制転換ではない。人々をジェノサイドから守ることであり、ウクライナの『非軍事化』と『非ナチ化』だ」と述べ、ロシア軍が想定以上の苦戦を強いられる中、ゼレンスキー政権を相手に交渉を続ける姿勢を示したものと受け止められています。

ただ、ウクライナは領土の保全をめぐっては譲れないとの立場を崩していないことから、まずは「中立化」をめぐって双方が歩み寄り、妥協点を見いだせるかが焦点です。