ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐり、双方の対面での停戦交渉が、トルコのイスタンブールで近く行われる見通しです。ウクライナのゼレンスキー大統領はNATO=北大西洋条約機構への加盟に代わる新たな安全保障の枠組みについて議論する用意がある考えを示していて、具体的な歩み寄りが見られるかが焦点となります。

ロシア国防省は28日、親ロシア派の武装勢力が影響力を持つ東部のドネツク州とルガンスク州でロシア軍が攻勢を強め、掌握した地域を広げたと発表しました。

各地で戦闘が続く中、ロシアとウクライナとの停戦交渉について、ウクライナとロシアの代表団、それに双方の仲介役となるトルコ政府の情報によりますと、交渉はトルコのイスタンブールで28日か29日から行われるということです。

交渉について、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアの複数のメディアとのインタビューの中で「ウクライナの安全保障と中立化、非核の立場は最も重要なポイントだ。ウクライナとロシア双方にとっての安全保障の問題であるため、議論されている」と述べました。

ロシアは、ウクライナに対してNATO=北大西洋条約機構への加盟を法的に認めさせない「中立化」を要求していますが、ゼレンスキー大統領はインタビューで、NATOの加盟に代わる新たな安全保障の枠組みについて議論する用意がある考えを示したものです。

ただ、ロシアが8年前に一方的に併合した南部クリミアの承認や、親ロシア派の武装勢力が事実上支配している東部地域の独立承認などは、ウクライナが強く拒否するなど交渉は依然隔たりが大きく、ロシア代表団のトップ、メジンスキー大統領補佐官は25日「重要な問題が堂々巡りになっている」と話しています。

双方の代表団の対面による交渉は、ベラルーシで今月7日に実施されて以来4回目となり、「中立化」などの課題で具体的な歩み寄りが見られるかが焦点となります。