軍事的な緊張が続くウクライナ情勢をめぐり、アメリカ国防総省は、国内の8500人規模の部隊に対して、ヨーロッパへの派遣に備えて警戒態勢を強化するよう指示したと発表しました。

ウクライナの国境周辺には、隣国のロシアがおよそ10万人とされる軍の部隊を展開し、緊張が続いています。



これを受けて、アメリカ国防総省は24日、NATO=北大西洋条約機構の加盟国のうちウクライナ周辺の国々などの防衛のため、アメリカ国内の部隊に対し、警戒態勢を強化するよう指示したと発表しました。



具体的には、8500人規模の部隊に対して、NATOの即応部隊が活動を開始する場合などにヨーロッパに速やかに派遣できるよう備えるとしています。



国防総省のカービー報道官は記者会見で、現時点では派遣についての決定はなされていないと強調したうえで「ロシアに対して外交と対話を引き続き優先するにしても、準備態勢を強化する必要がある。アメリカは、自国や同盟国などに害を及ぼすロシアの行動に断固とした対応をとる」と述べました。



ウクライナ情勢をめぐっては、アメリカとロシアの間で協議が続いていますが、両国の主張の隔たりは大きく、緊張緩和に向けた見通しは立っていません。



アメリカ側としては、引き続き対話を通じた解決を目指す一方、部隊の派遣に向けた態勢を整えることで、ロシア側への圧力を強めるねらいもあるものとみられます。