IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長がNHKの単独インタビューに応じました。東京電力福島第一原子力発電所で増え続ける処理水を国の基準を下回る濃度に薄めて海に放出する日本政府の決定に対し周辺国などから懸念が出ていることを受け、様々な国からの専門家を加えた国際的な調査団の派遣を検討していることを明らかにしました。

IAEAのグロッシ事務局長は14日、ウィーンの本部でNHKの単独インタビューに応じました。

このなかでグロッシ事務局長は14日に、梶山経済産業大臣とテレビ会議で会談し、処理水の海への放出を巡り、日本政府から正式に協力の要請を受けたとしたうえで、地元の自治体や韓国など周辺国から出ている懸念について、「いかなる懸念に対しても、真剣に応えなければならない。われわれには日本政府と共通の責任がある」と述べました。

こうした懸念の払拭に向けて、安全性の検証を行うためIAEAは調査団を日本に派遣する考えですが、これについて「様々な国や地域から専門家を迎える可能性がある。すべての深刻な懸念が議論され、技術的に分析する機会になるだろう」と述べて、国際的な調査団の派遣を検討していることを明らかにしました。

そのうえで、韓国など周辺国の専門家が調査団に参加するかについては「IAEAの権限のもとで、検討していく」と述べました。

また、グロッシ事務局長は、ことし夏までに日本側と調査団の枠組みについて合意し、速やかに派遣したい考えを示しました。