アメリカ政府は気候変動問題を担当するケリー特使が今週、中国を訪れて協議を行うと発表しました。バイデン政権の高官が中国を訪れるのは初めてで、対立を深める両国が、地球温暖化対策で協力の糸口を見いだせるかが焦点です。

アメリカ国務省は13日、バイデン政権で気候変動問題を担当するケリー特使がアメリカ東部時間の14日に出発して17日まで中国の上海と韓国の首都ソウルを訪問すると発表しました。

ケリー特使は、バイデン大統領の呼びかけで今月22日と23日にオンラインで開催する、気候変動問題サミットに向けて、削減目標の引き上げなどについて意見を交わすということです。

バイデン政権は、前のトランプ政権が離脱した地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」に復帰し、温室効果ガスの新たな削減目標の検討を進めていて、ケリー特使は世界最大の排出国である中国にさらなる取り組みを働きかけるねらいがあるとみられます。

中国を「最大の競合国」と位置づけるバイデン政権は地球温暖化対策などでは中国との協力を模索する方針で、ケリー特使は政権発足後、初めて中国を訪れる高官となります。

ただ、中国の新疆ウイグル自治区の人権問題や、安全保障問題などをめぐり米中の対立は深まっていて、今回の協議で協力の糸口を見いだせるかが焦点です。