アメリカのバイデン政権は、アフガニスタンに駐留するアメリカ軍について、同時多発テロ事件から20年となることし9月11日までに完全撤退させることを決めたと明らかにしました。

アフガニスタンをめぐってアメリカのトランプ前政権は去年2月、反政府武装勢力タリバンと、現地に駐留するアメリカ軍の完全撤退を含む和平合意を結びましたが、現地では依然として戦闘やテロが相次いでいて、合意に基づき5月1日までに撤退が完了するかが焦点となっていました。

これについてバイデン政権の高官は13日、電話会見を行い、バイデン大統領が期限を4か月余り延期し、同時多発テロ事件から20年となることし9月11日までに軍を完全撤退させることを決めたと明らかにしました。

高官は「アフガニスタンが抱える問題は軍事力では解決できない」と指摘し、撤退後は交渉を通じた和平の実現に力を入れるとしています。

また「中国との競争などアメリカにとって最も深刻な脅威と課題に人員と資源を投入する必要がある」と述べ、安全保障面で対立が深まる中国に対抗するための戦略の一環でもあるとの認識を示しました。

アメリカ国内では部隊の完全撤退によってアルカイダなどのテロ組織がアメリカ本土を攻撃する能力を取り戻すおそれがあるという指摘も出ています。

こうした懸念に高官は「アルカイダの復活の可能性から目を離すことはない」と述べ、アメリカ軍の撤退後もアフガニスタン政府が行うテロ対策の支援を続けると強調しました。