海外で菌の植えつけが行われた生しいたけの「菌床」(きんしょう)を輸入し、国内で収穫したものを、国産として販売するケースが増え、「誤解を与える」という指摘が出ていることを受け、消費者庁は、菌を植えつけた場所を生しいたけの原産地として表示することを義務づけるよう新たにルールを見直す方針を固めたことがわかりました。

現在の国の食品表示のルールでは、きのこを含む農産物は、収穫された場所を原産地として表示することになっています。

ところが、しいたけの場合、「菌床」と呼ばれる木の粉などに菌を植えつけたものを海外から輸入して、育ったものを収穫し、国産として販売されるケースが増えていて、違反ではないものの誤解を招きやすいという指摘があがっています。

消費者庁は、おととし、ルールを一部改正し、菌を植えつけた場所もあわせて表示することが望ましいとしましたが、その後も海外で植えつけたことの表示がほとんどない状態が続いていて、消費者や生産者団体などから対策が不十分だという声が寄せられているということです。

このため、消費者庁は収穫した場所ではなく、菌を植えつけた場所を生しいたけの原産地として表示することを義務づけるよう、新たにルールを見直す方針を固めたことがわかりました。

ルールの見直しは今月中に行ない、消費者や生産者への周知を進めるとしています。

「生しいたけ」の輸入減も「菌床」は輸入増

林野庁によりますと生しいたけの輸入量は、2000年には4万2000トンと国内の消費量の4割近くを占めていました。

その後、2001年に国内の生産者を守るために緊急輸入制限を暫定発動したほか2006年には残留農薬に関する新しい制度が導入されたことなどから減少し、おととしには1800トンと、国内の消費量のおよそ2%ほどにまで減っています。

その一方で、菌床の輸入は増えています。

林野庁によりますとおととし輸入した菌床から生産した生しいたけの量は、1万トン余りと推計され、国内の消費量全体の15%を占めると見られています。