文字を書くことができない人が選挙で投票する際に、代筆を頼む相手を投票所の事務員に限定している公職選挙法の規定が、投票の秘密を保障した憲法に違反しているか争われた裁判で、最高裁判所は原告の男性の上告を退け、規定は憲法に違反しないとした判決が確定しました。

公職選挙法は、文字を書くことができない人が代筆での投票を希望する場合、本人の意思と異なる投票を防ぐため代筆を頼む相手を投票所の事務員に限定する規定を設けています。



脳性まひがある大阪・豊中市の男性は、6年前の参議院選挙で自分のヘルパーや弁護士による代筆を希望しましたが、選挙管理委員会に認められず投票を断念したとして「投票先を事務員に伝えなければいけない法律の規定は、投票の秘密を保障した憲法に違反する」と主張して国を訴えました。



2審の大阪高等裁判所は「事務員には公務員としての守秘義務があるうえ、刑罰を設けるなど投票内容がほかの人に知られないよう制度的な手当てがされている。投票の秘密が制約されることは選挙の公正を確保するためやむをえない」と述べ、1審に続いて憲法に違反しないと判断し、男性の訴えを退けました。



最高裁判所第1小法廷の山口厚裁判長は、5日までに男性の上告を退ける決定をし、公職選挙法の規定は憲法に違反しないとした判決が確定しました。