熊本地震の発生から14日で5年です。この地震を引き起こした活断層の周辺では、地震の回数は年々、減少傾向にありますが、地震の前に比べると多い状態にあり、気象庁は今後も強い揺れへの備えを進めてほしいと呼びかけています。

熊本地震では、益城町で2回にわたって震度7の激しい揺れが観測され多くの犠牲者が出たほか、20万棟余りの住宅に被害が出ました。

気象庁によりますと地震が起きたのは、熊本県を東西に走る「布田川断層帯」と「日奈久断層帯」の周辺で、地震発生から先月までの間に震度1以上の揺れを伴う地震が4757回、観測されたということです。

年ごとに見ると、
▽2016年が4211回と最も多く
▽2017年が245回
▽2018年が108回
▽2019年は111回で
▽去年の2020年は65回と、年々減少しています。

しかし、熊本地震の前の5年間で震度1を観測した地震の年間の平均回数49.2回と比べると、多い状態が続いているということです。

また、政府の地震調査委員会によりますと「日奈久断層帯」で、今後30年以内に地震が発生する確率は、
▽北東側の「日奈久区間」で、ほぼ0%から6%
▽南西側の「八代海区間」で、ほぼ0%から16%とされ、
地震発生の切迫度は、最も高い「Sランク」と評価されています。

気象庁は「地震活動がまだ活発な状態なので、今後も強い揺れへの備えを進めてほしい。熊本地震の特徴は、大きな規模の地震が起きた直後に再び大きな地震が発生したことで、熊本に限らず、ほかの地域でも地震の直後に同程度か、それ以上の規模の地震が起きる可能性があり、十分注意してもらいたい」と話しています。

専門家「強い揺れへの備えは引き続き必要」

一連の熊本地震のあと、地震活動は全体として低下していますが、専門家の解析では5年前の地震で、ずれ動いていない日奈久断層帯の南側などで地震前より活発な状況が続いているということです。専門家は、強い揺れへの備えは引き続き必要だと指摘しています。

直後1年間

活断層のメカニズムに詳しい東北大学の遠田晋次教授は、5年前の4月16日に起きたマグニチュード7.3の大地震以降、震源域周辺の地震活動がどのように変化したか解析しました。

地震が減っている地域を青、地震前より多い状況が続く地域を赤で示したところ、熊本地震の直後から1年間では「布田川断層帯」と「日奈久断層帯」のうち、地震を引き起こした部分と、その周辺で活発だったほか、地震でずれ動いていない「日奈久断層帯」の南側でも地震活動が活発になっていました。

今月上旬にかけての4年間

その後、今月上旬にかけての4年間の活動を解析したところ、全体の地震活動は低下しているものの、日奈久断層帯の南側にあたる有明海や八代海、八代平野の周辺のほか、熊本平野や阿蘇山の周辺、それに九州山地の一部などでは、地震前に比べ依然として活発な状態が続いていることが分かります。

遠田教授は「地震活動全体は低下しているが、今回、ずれ動いた活断層の周辺では地震が起きやすい状態が続いており、強い揺れには引き続き備えてほしい」と話しています。