兵庫県の井戸知事は、県内での感染の急拡大を受けて、現在、神戸市など4つの市が対象となっている「まん延防止等重点措置」の地域に伊丹市や宝塚市、それに明石市などを加えることを検討する考えを示しました。

兵庫県内では14日、これまでで最も多い507人の新型コロナウイルスへの感染が確認されました。

これについて、井戸知事は「感染者数が急上昇しているのが実情で、医療体制が危機的な状況であることは間違いない。これからも厳しい状況が続く可能性がある」と述べて、強い危機感を示しました。

そのうえで「感染者が急上昇している地域の実情をよく分析したうえで『まん延防止等重点措置』の範囲も検討課題として、吟味していく」と述べて、現在、神戸市など4つの市が対象となっている「まん延防止等重点措置」の地域に伊丹市や宝塚市、それに明石市などを加えることを検討する考えを示しました。

県は15日、緊急の対策本部会議を開いて検討することにしています。

一方、井戸知事は3回目の緊急事態宣言を発出するよう国に要望するかについては「さらなる規制の強化を要請するかの判断には時期尚早だ」と述べて、慎重な考えを示しました。

感染等対策室長「医療崩壊が目前 感染対策に協力を」

兵庫県感染等対策室の山下輝夫室長は記者会見で、1日の感染者数としては過去最多の507人の感染が確認されたことを受けて「想像よりもはるかに感染拡大のスピードが速い、重症患者の増加も速い。危惧していた医療崩壊が目前に迫っており、このままでは多大なる犠牲を払うことになる」と述べ危機感をあらわにしました。

そのうえで山下室長は「今、広がっているのは変異株で感染力も強い。距離を取る、不急の外出は避けるなど今までとやることは同じでも、今まで以上に行動を厳格に変容していただかなければならない。医療現場は血のにじむ努力をしており、県民は心を一つにして感染対策に協力してほしい」と強い口調で呼びかけました。

うちわ会食批判で配布中止

井戸知事は、みずからが提唱した「うちわ会食」に批判が出ていることを受けて、飲食店へのうちわの配布を中止すると発表しました。

兵庫県の井戸知事は先週、飲食店での感染防止策として会話をする際は、うちわや扇子を使って口を覆い飛まつを防ぐ「うちわ会食」を呼びかけ、「まん延防止等重点措置」が出されている神戸市など4つの市の飲食店に合わせて32万本を配布すると発表しました。

しかし、神戸市が「効果の検証が不十分で、かえって危険性を高める可能性がある」として、うちわの配布を行わないよう県に申し入れるなど批判が出ていました。

これを受けて井戸知事は記者団に対し「『うちわで感染が防げる』とは申し上げていない。ただ、飲食店に配るのは行き過ぎだった。誤解があるかぎりは、配るのを差し控えたい」と述べ、飲食店へのうちわの配布を中止すると発表しました。

兵庫県は、うちわを感染防止の啓発グッズとして飲食店以外の場所で配ることを検討したいとしています。