4年前、千葉県松戸市で暴力団どうしの対立による発砲事件に巻き込まれ、関わりがないのに自宅に銃弾を撃ち込まれた女性が、暴力団の当時の会長らに損害賠償を求めた裁判で、9日、原告側は当時の会長らが女性に合わせて500万円を支払うことで和解が成立したことを明らかにしました。

4年前の平成29年、千葉県松戸市で指定暴力団「稲川会」の内部の対立による発砲事件に巻き込まれる形で暴力団と関係ない女性の部屋に誤って銃弾3発が撃ち込まれ、銃弾を撃ち込んだ稲川会系の暴力団員らには有罪判決が言い渡されています。

この事件をめぐって女性は平穏な生活を奪われたとして去年、稲川会の当時の会長と理事長の2人に対して1300万円の損害賠償を求める訴えを起こしていましたが、原告の弁護団によりますと、9日、当時の会長らが500万円を支払うことで、和解が成立したということです。

原告の代理人の佐野善房弁護士は、「被害者にけがもなく財産的な被害もないなかで500万円の慰謝料は破格の金額だ。高額な和解金での和解を推し進めた裁判所からは住民を巻き込む暴力団抗争の抑止につなげたいという強い意志を感じる」と話していました。

一方、稲川会側の弁護士は「コメントは差し控えたい」としています。

原告女性「発砲事件の抑止につながれば」

和解が成立したことについて、原告の女性は「暴力団を相手にした民事裁判を起こすなど、当初は怖くて思いもつきませんでしたが、提訴、そして、この和解を迎えることができました。発砲事件が繰り返されないようにするためには、実行犯への刑事罰だけではなく組長への損害賠償によって暴力団に経済的打撃を与えることが有効ではないかと考え、今回の民事訴訟を提訴しました。今回の裁判の結果が暴力団による抗争事件や発砲事件の抑止につながることをせつに願っています」とコメントを出しています。