9日夜から鹿児島県のトカラ列島近海を震源とする地震が相次いでいて、十島村では10日の震度4の揺れを2回観測しました。気象台は周辺にある活火山との関連は分からないとしたうえで地震は数日間続くおそれがあるとして注意を呼びかけています。

10日午後4時36分ごろ、鹿児島県十島村の悪石島で震度4の揺れを観測する地震がありました。

悪石島では10日午前7時7分ごろにも震度4の揺れを観測するなど、十島村の悪石島と小宝島の周辺では、9日夜11時半から10日午後6時までの間に震度1以上の地震が合わせて66回観測されています。

気象台は周辺にある活火山との関連は分からないとしたうえで、地震が数日間続く可能性があるとして注意を呼びかけています。

悪石島の住民“被害なしも不安”

地震による揺れが相次いでいる鹿児島県十島村の悪石島で民宿を経営している松下賢次さんは10日午後3時半ごろ、NHKの電話取材に対し「朝の3時ごろに揺れで目が覚めてから眠れずに事務仕事などをしていましたが、午前7時ごろの震度4の揺れでは食器棚がガタガタして中のものが飛びだしてくるのではないかとびっくりしました。揺れを感じる地震が相次いでいますが、特に被害はないようで皆さん通常通り生活をしているようです」と話していました。

そのうえで、「これだけ揺れが続くと気持ちのいいものではなく、少しでも早く収まってほしいです」と話していました。

悪石島は鹿児島市から南におよそ250キロの場所にある離島で、およそ70人が暮らしています。

専門家「構造線を背景に起きている可能性」

鹿児島県のトカラ列島近海を震源とする地震が9日夜から相次いでいることについて、南西諸島北部の地震活動に詳しい鹿児島大学南西島弧地震火山観測所の仲谷幸浩特任助教は「この領域では、『トカラギャップ』と呼ばれる海底地形のくぼ地がおおむね東西に延びていると考えられている。こうした境界があることで横ずれ断層型の地震がしばしば起きており、今回の地震活動もこの構造線を背景に起きている可能性がある」と指摘しています。

そのうえで今後の見通しについて、「2000年にマグニチュード5.9の地震が起きた際にもしばらく活動が続いたので、引き続き十分注意する必要がある」と話しています