鉄鋼大手のJFEホールディングスが、脱炭素の実現につながる事業を進めるため、特別な債券を発行して資金を調達することがわかりました。製鉄所での省エネ技術への投資などを加速させるねらいです。

関係者によりますと、JFEホールディングスは、来年度、「移行債」と呼ばれる特別な債券を、300億円程度、発行します。



この債券は、脱炭素社会に移行するのに必要な取り組みに資金を充てることを明示した社債の一種で、会社では、製鉄所の省エネ技術の開発や、電気自動車のモーターに使われる鋼板への投資などを増やす方針です。



環境分野では、グリーンボンド=環境債と呼ばれる債券もありますが、鉄鋼や化学メーカーなど、二酸化炭素を多く排出している企業は、第三者機関からなかなか認証が得られず、発行が難しいとされています。



このため経済産業省などは、こうした企業でも脱炭素への取り組みを進められるよう、去年5月に移行債の発行要件などに関する指針を策定しています。



移行債は、国内では日本郵船が発行していますが、製造業での発行は初めてだとみられ、資金調達の多様化が脱炭素の取り組みを後押しするかが焦点です。