中古車の取り引き価格がこのところ上昇し、先月は過去10年間で2番目に高い水準となりました。半導体不足によって新車の生産が滞り、中古車市場に回る車に品薄感が出ていることが背景にあるとみられます。

中古車オークションの運営会社で最大手のUSSによりますと、先月、会社が仲介し、取り引きが成立した中古車の平均落札価格は85万9000円でした。

前の年の同じ月と比べて13万円余り、率にして18%上昇し、この10年で見ると、2012年3月に次いで2番目に高い水準だということです。

中古車市場の関係者の間では、世界的な半導体不足で新車の生産が滞っているため、乗り換えに伴って中古車市場に回る車も品薄になり、オークションの落札価格が上昇しているのではないかという見方が出ています。

今後の見通しについて、中古車市場に詳しい東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストは「半導体不足が解消し、新車の生産がもとの水準に戻るには時間がかかる。当面、中古車価格は高い状況が続くのではないか」と指摘しています。

中古車販売店 仕入れ価格1~2割上昇

中古車の販売店でも車の仕入れ価格が上昇しています。

埼玉県越谷市の販売店では、家族向けのワンボックスカーやコンパクトカー、それに軽自動車の人気が高く、100万円前後の車が売れ筋となっています。

ただ、ここ最近は全体的に中古車の仕入れ価格が上がっていて、平均すると去年の同じ時期と比べて1割から2割近く上昇しているということです。

店では、中古車を求めている人は価格で選ぶ傾向が強いとみていて、客離れを招かないよう、仕入れ価格が上昇しても販売価格にはできるだけ上乗せしないようにしているということです。

この中古車販売店の細井光宏営業部次長は「新型コロナの影響で、電車通勤から車通勤に変えたいという人を中心に来店客が増えている。仕入れ価格が上がっているが、価格転嫁はしないよう努力したい」と話していました。